Google口コミって削除できるの?
削除の際のポイントを弁護士が解説!
広島で企業法務・医療法務に力を入れている大元・秋山法律事務所の弁護士が解説
Google口コミは、いまや単なる感想欄ではありません。
特にGoogle口コミは、場所を確認する際に地図の下に表示されるため、初めての施設等に出向く際には必然的に目に入りますし、そもそも何かのサービスの提供先を探す際に、口コミの点数に主眼を置く方も多いのではないでしょか?
医療機関では受診先の選択に、介護施設では入所の判断に、企業では来店、採用、信用判断にまで影響することがあります。
星の数や直近のレビューが、問い合わせ数や応募数に影響してもおかしくありませんし、経営者としてMEOを無視することはできません。
悪い口コミは削除したい・・・これは経営者からすれば当然思うことです。
ただし、最初に押さえておきたい前提があります。
Google口コミは、腹が立つから等の抽象的な理由だけでは削除できません。
削除対象はGoogleポリシーに違反する口コミに限られ、単なる事業者とユーザーの紛争にGoogleは関与しません。
だからこそ、感情ではなくGoogleの手順と法的観点を意識して動くことが大事です。
対応の順番
① Googleの公式ルートで任意削除を試みる → ② 難しい場合は法的な削除や発信者特定を検討する → ③ 焦って削除業者に依頼し、別のリスクを作らない
SECTION 01
「不快だから消せる」ではない──
削除できる口コミ・できない口コミ
❌ 厳しくても削除は難しい
- 待ち時間が長かった
- 説明が不十分だと感じた
- 接客態度が悪いと思った
- 料金が高いと感じた
- 雰囲気が合わなかった
→ 「感想」「評価」の領域。Googleも原則介入しにくい
⭕ 削除の可能性がある
- 実体験に基づかない投稿
- なりすまし
- 報酬付きレビュー・虚偽のエンゲージメント
- 侮辱、脅迫、差別的表現
- 個人情報・医療情報の漏洩
- 利害関係者の利益相反投稿
- 事実に反する違法行為の断定
💡 最初の判断:その口コミが「単に嫌な口コミ」なのか「削除対象になり得る口コミ」なのか。この切り分けができないと、削除できないレビューに時間を使い続けることになります。
SECTION 03
任意削除──
Googleの公式ルートを正しく使う
口コミ削除リクエストの全体フロー
ビジネスプロフィール管理画面から
感想・評価は削除対象外
通常3営業日〜数週間
法的削除リクエスト → 仮処分 → 発信者情報開示 → 訴訟
上図のとおり、まずはGoogleの公式ルートを踏み、それでも動かない場合に法的対応へ進む、という順番が基本です。
なぜ「任意削除の段階」から弁護士に相談すべきなのか
① 違反報告の「質」が変わる
「不快だから消してほしい」と「この投稿は刑法上の名誉毀損の不法行為を構成する」では、Googleの審査における説得力が異なります。弁護士が法的根拠を整理した上で報告すれば、任意段階でも削除率は上がりやすい
② 再審査請求は1回限り──やり直しがきかない
Google公式の再審査請求は原則1回きり。ここで「気に入らない口コミです」と書いてしまうと、それで終わりです。最初から法的に整理された報告を出しておけば、再審査の精度も上がる
③ 法的対応への「助走」ができる
任意削除が通らなかった場合、次は法的削除リクエストや仮処分、発信者情報開示命令に進みます。最初から弁護士が証拠を保全し、法的な主張を組み立てておけば、任意→法的への移行がシームレスに進む。後から弁護士に相談すると、証拠の取り直しやログの消失で手遅れになるリスクがあります
④ 医療・介護では「返信の一言」が命取り
口コミへの返信で診療内容や利用者情報を漏らすと、守秘義務違反・個人情報保護法違反という別の問題を生む。削除申請と返信方針を一体で弁護士が管理することで、「口コミ対応で自分の首を絞める」事態を防げる
💡 まとめると:弁護士は「裁判の段階で呼ぶ人」ではなく、任意削除の段階から入ることで、報告の質、証拠の保全、法的対応への移行、返信リスクの管理をすべて最適化できる人です。結果的に、早く・安全に・低コストで解決に近づく。
「営業妨害です」ではなく、どのポリシーに違反しているかを具体的に示す。来院記録の不在、個人情報の含有、利害関係者性、侮辱表現など
Google公式は再審査請求が大量で処理遅延を告知。同じ請求の繰り返しは非推奨。スクリーンショット、来院記録、矛盾資料、連続投稿の証拠を最初から組んでおく
施設内写真、スタッフの顔、患者の様子が写っている場合、本文以上に要配慮者個人情報の流出やプライバシー侵害が強くなります。
SECTION 04
削除できない口コミへの返信──
意外に難しい
❌ 返信で避けたいこと
- 受診歴や利用歴を明かす(例:その書き込みからして◯◯さんですね等)
- 診療内容・介護内容を具体的に書く
- 相手の勘違いを公開の場で詳細に指摘
- 感情的・挑発的な文言(飲食店でよくあります)
- こんな投稿をする奴は「患者ではない」と断定
⭕ 返信で意識したいこと
- 意見を受け止める姿勢を示す
- 個別事情は公開の場では答えられないとにじませる
- 必要に応じて連絡窓口を案内
- 投稿者ではなく、未来の患者・顧客に向けて書く
SECTION 05
法的な削除──
任意で動かないときの次の一手
法的対応の判断フロー
信用毀損
↓
Googleの法的削除リクエスト
→ 仮処分・訴訟
プライバシー
↓
Googleの法的削除
+検索結果削除
したい
↓
発信者情報開示命令
→ 損害賠償請求
①
Googleの法的削除リクエスト
名誉毀損、プライバシー侵害、個人データ等の法的根拠で。「ひどい口コミ」ではなく「どの権利が、どう侵害されているか」を整理
②
検索結果側の削除・露出抑制
レビュー本文ではなく、検索結果での露出を抑える方向が争点になることもある
③
仮処分・訴訟による削除請求
緊急性が高ければ仮処分、本格的に争うなら訴訟。事案ごとに順番が異なる
④
発信者情報開示命令で投稿者特定
削除だけでなく損害賠償・再発防止まで視野に入れるなら。2022年の法改正で非訟手続(開示命令・提供命令・消去禁止命令)が新設され、従来必要だった2段階の裁判手続が1回の手続で完結可能に。ただし通信事業者のログには保存期間があり、時間が経つと特定が困難になるため、早めの証拠固めが決定的
SECTION 06
法改正で口コミは消しやすくなったのか
ネット上の権利侵害に対応する法制度は、近年2回の大きな改正で前進しています。
2022年10月施行
発信者情報開示命令(非訟手続)の新設
従来2段階必要だった裁判手続が、開示命令・提供命令・消去禁止命令の一体的な非訟手続で1回に。申立件数は2024年上半期で前年同期の約2倍に急増
2025年4月施行
情報流通プラットフォーム対処法
旧プロバイダ責任制限法の題名変更+大規模PF事業者への義務追加。削除対応の迅速化(14日以内の判断・通知)と運用の透明化が義務に
⚠️ ただし、「Googleレビューが法改正で簡単に消せるようになった」とまでは言えない。Google自身は削除対象をポリシー違反に限ると案内し、再審査請求の処理遅延も告知している。法制度の前進と、個別のGoogleサービスの運用は分けて考える必要がある。
SECTION 07
口コミ削除業者には
なぜ注意が必要なのか
❌ 「どんな口コミでも消せる」
Google公式は削除対象をポリシー違反に限ると説明。「内容に関係なく削除可能」は、公式の説明と整合しない
❌ サクラ投稿やレビュー操作
Googleは虚偽のエンゲージメントを明確に禁止。違反が確認された事業者にはレビュー削除やレビュー投稿停止の制限も
❌ 削除と引き換えの支払い
Googleは恐喝詐欺として分類。投稿者本人でも仲介業者でも同様
⭕ 外部委託するなら確認したい
- Google公式の報告代行なのか
- 法的削除は弁護士が担当するのか
- サクラ投稿やレビュー操作をしないか
- 成功報酬の定義は明確か
- 削除できなかった場合の説明があるか
私が昔、世の中は罠bだらけだな、と思った話
以前、Googleの口コミや星の点数を上げたいと考えていた医師から相談を受けたことがあります。
「”星の点数を上げられますよ!”という業者にお試し(期間中無料)で頼んでみたが、全く効果がなかったので、お試し期間中に解約した。すると、その後しばらくして悪い点数の口コミがちらほらと増え始めた。そうしたら今度は、別の口コミ業者から”悪い口コミの削除をしませんか?”と営業の連絡が来た。両者の商業登記簿を調べてみると、最初の業者と後から来た業者の経営者は同一人物だった。」
──これは、オレオレ詐欺に引っかかった人が、「取り戻せます!」という別の詐欺業者にまた引っかかるのと似た構図です。口コミ業者の世界では、こういうマッチポンプ的な手口が珍しくありません。
SECTION 08
業者が行う削除のための裏テクニックは
要するにこういうものが多いです。
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❌ 方法1
ビジネスプロフィールを削除して再登録する(口コミリセット)
プロフィールを削除し、ゼロから再登録すれば口コミも消えるという発想。実際にはGoogleが屋号・住所・電話番号から同一ビジネスと認識し、旧プロフィールの口コミが再登録後も引き継がれるケースが報告されている。しかも削除中はGoogleマップから消えて集客力が激減する。
リスク:口コミが消えない可能性が高い上、MEO順位もゼロからやり直し
❌ 方法2
「閉業」マークをつけて口コミ欄を見えにくくする
ビジネスプロフィールに「閉業」ステータスを設定すると、口コミ欄の目立ち方が変わるため、一時しのぎとして使われることがある。しかし実際には営業中の事業者が「閉業」表示を出せば、来店・来院希望者を失う。Googleや第三者が営業中と判断すればステータスは元に戻される可能性もある。
リスク:営業機会の損失。虚偽の情報提供としてポリシー違反になり得る
❌ 方法3
サクラ業者に大量の高評価を入れて低評価を埋もれさせる
低評価を相対的に目立たなくするために、報酬付きの高評価レビューを大量に投稿させる手法。Googleは虚偽のエンゲージメントを明確に禁止しており、不自然な投稿パターンはAIで検出される。発覚した場合、レビューの一括削除やレビュー投稿停止などの制限がビジネスプロフィールに課されることがある。
リスク:プロフィール全体にGoogleからペナルティ。逆効果
❌ 方法4
そもそも低評価口コミ自体がサクラだった
「成功率90%以上」「どんな口コミでも対応可能」と広告する業者の中には、まず自作自演で低評価口コミを投稿し、その後「削除できますよ」と営業してくるケースがある。あるいは、高評価サクラ投稿の大量注入とセットで「星の平均を上げました」と報告し、裏ではビジネスプロフィールにポリシー違反のリスクを積み上げている。前述の医師のエピソードもこの構図。
リスク:事業者が知らないうちにポリシー違反の共犯的立場に。マッチポンプの餌食に
SECTION 09
口コミ被害が出たら──
最初にやるべき5ステップ
CONCLUSION
まとめ
①
削除対象になり得るかを見分ける
感情で動かず、ポリシー違反か権利侵害かを冷静に判断
②
Google公式ルートを正しく踏む
最初から証拠を組み、再審査まで見据える
③
返信・沈静化・法的対応を切り分ける
医療・介護は守秘義務違反を起こさないことが最優先
④
削除業者の甘い宣伝に乗らない
「すぐ消せます」ほど慎重に見るべき分野
口コミ被害そのものよりも、対応ミスの方が大きな傷になることがあります。違和感のある口コミが出たら、感情的に反応する前に、どのルートでどこまで対応するのが最も損失が少ないかを整理する。それが、信用管理の最善手です。
Google口コミ対応でお困りの方へ
削除申請・返信方針・発信者特定まで
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※本稿は一般的な情報提供であり、個別事案の結論を保証するものではありません。
