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CASE

化膿性脊椎炎・複合感染をめぐる医療過誤請求事件(医療訴訟)

SITUATION

相談前の状況

高齢の患者が直腸がん術後の入院中に緑膿菌による敗血症を発症し、さらに化膿性脊椎炎を合併するという重篤な経過をたどりました。患者は最終的に亡くなり、ご遺族は病院側の感染管理・抗菌薬投与・脊椎炎の診断対応に過失があったとして、損害賠償を求めて提訴しました。

ご遺族は、

  • ・院内感染対策・感染源の特定:緑膿菌菌血症の感染経路(中心静脈カテーテル由来か消化管由来かなど)について、感染管理の観点から病院側の対応が標準的なバンドル管理を満たしていたか

  • ・抗菌薬の選択・変更タイミング:感受性試験結果を踏まえた薬剤選択(カルバペネム系・抗緑膿菌ペニシリン系の使用判断)と、治療効果不十分時の切り替えタイミングが適切だったか

  • ・化膿性脊椎炎の診断・治療介入:血行性脊椎炎として典型的な経過を示す中で、画像評価(MRI)の施行時期と保存療法から外科的介入への移行判断が医療水準に合致していたか

をはじめとした複数の争点について、感染症診療・脊椎外科・外科周術期管理にまたがる複合的な過失の主張がありました

SUPPORT

当事務所のサポート

当事務所は医療機関側代理人として、事実関係の整理と医学的根拠の構築に努め、裁判所にわかりやすく医療機関の対応に問題がないことを説明しました。具体的には、以下の対応を行いました。

・複合病態の医学的整理

直腸がん術後・敗血症・化膿性脊椎炎という三つの病態が交錯する難事案について、各専門領域の診療ガイドラインと医学文献を精査し、治療の各段階における判断が当時の標準的医療に照らして適切であったことを体系的に論証しました。

・複数論点についての医学的知見の整理

感染源・抗菌薬選択・脊椎炎の診断タイミングをはじめ計6つの争点について、診療記録をもとに詳細な時系列を再構成し、各争点ごとに医学的根拠に基づく具体的な反論を準備書面として提出しました。特に、

  • ・緑膿菌菌血症の感染経路について、中心静脈カテーテル管理が標準的なバンドルに準拠していたか

  • ・抗菌薬の選択・変更が感受性試験結果と当時のガイドラインに照らして妥当であったか

  • ・化膿性脊椎炎のMRI施行時期・保存療法の選択が医療水準に合致していたか

といった点を、診療記録・医学文献・学会ガイドライン等を基に詳細に検討しました。

RESULT

解決後の成果

東京地方裁判所において、完全勝訴の判決となりました。

判決では、

  • ・緑膿菌菌血症に対する感染管理体制は、当時の医療水準に照らして相当であった

  • 抗菌薬の選択・変更タイミングは、感受性試験結果と臨床経過に基づく合理的な判断であった

  • ・化膿性脊椎炎の画像診断の施行時期および保存療法の選択は、医療水準に合致していた

と判断され、医療機関側の責任は全面的に否定される結論となりました。

本件は、術後感染症という不可避的なリスクが現実化した場合であっても、各治療段階における判断が当時の医療水準に沿うものであれば過失は認められないという医療訴訟の基本原則を改めて確認した事例といえます。

医療事故・医療過誤訴訟の対応にお悩みの医療機関・ご担当者様は、まずはお気軽にご相談ください。複雑な感染症・外科合併症をめぐる事案にも、医学知識を持って対応する弁護士が丁寧にサポートいたします。