ホーム 解決事例 透析患者の問題行動に対し、診療拒否を行った事案
CASE

透析患者の問題行動に対し、診療拒否を行った事案

SITUATION

相談前の状況

患者・家族対応に悩む医療機関からのご相談の中には、単なるクレーム対応にとどまらず、職員の安全確保や診療継続の可否そのものが問題となるものがあります。いわゆるペイシェントハラスメントモンスターペイシェントへの対応が求められる場面です。

本件は、透析治療を受けていた患者から、看護師らに対する暴言、威嚇、人格否定的発言が10年以上の長期間にわたり繰り返され、現場職員が離職する等していた事案です。

院内では、

  • 院長や主治医による複数回の注意
  • 誓約書の差し入れ

など、段階的な対応が既に行われていたものの、改善は一時的にとどまり、同種行為が再発していました。

医療機関としては、「応招義務がある以上、どこまで対応を続けなければならないのか」「診療拒否をして、本人が他院に受診することなく身体状況が悪化した場合に損害賠償請求等の紛争に発展しないか」「透析中という治療を継続しなければならない患者という特殊性があり、いつ診療拒否をするべきか」といった懸念を抱えており、対応方針の判断が困難な状況でした。

SUPPORT

当事務所のサポート

当事務所では、医療機関側での従前の注意経過、問題行動の内容、現場に生じていた具体的支障を整理したうえで、診療継続の可否診療拒否に至る手順の適正性を検討しました。

具体的には、

  • 暴言・脅迫等の迷惑行為が継続し、診療の基礎となる信頼関係が損なわれていること
  • 現場職員の安全や就業環境に重大な影響が及んでいること
  • 記録化、警告、説明、転医調整等の適切な手順が踏まれていること

を確認し、応招義務との関係を踏まえてもなお、診療継続を見直すことが相当であるとの判断のもと、弁護士が介入しました。

最終的に、透析終了後に別室で患者本人に対して弁護士も含め診療拒否を行う文書を手交し、

  • 病院としての結論が変わらないことを明確に伝達
  • 診療拒否の通知書を交付
  • 診療情報提供書および近隣の透析対応医療機関の一覧を交付し、転医先の検討が可能な状態を整備
  • 今後の立入りについて方針を明示し、必要時には警察対応も辞さない旨を伝達

することで、曖昧さを残さない対応を行いました。

RESULT

解決後の成果

その結果、翌日には家族から病院に謝罪の連絡があり、その後、患者の来院はなく、紛争は拡大することなく収束しました。

  • 現場職員の安全と就業環境が回復
  • 損害賠償請求等の紛争への発展なし
  • 転医調整を含めた適切な手順による円滑な関係整理を実現

医療機関における患者トラブルペイシェントハラスメントへの対応では、「我慢を続けること」が最善とは限りません。暴言・脅迫が常態化している場合には、現場任せにせず、管理者・事務部門・顧問弁護士等が連携し、証拠化と手順整備を踏まえた組織対応を行うことが重要です。本件は、応招義務の問題を整理したうえで、医療機関が必要以上に萎縮することなく、職員を守りながら適切に関係整理を行った事例の一つです。