財産分与
非上場株式
経営者離婚
特有財産
親権・監護
SECTION 01
相談前の状況
相談者は、会社を経営する配偶者との離婚を希望していました。婚姻期間は長く、その間に自宅不動産、預貯金、保険、退職金見込額、会社株式など、複数の財産が形成されていました。
もっとも、相手方は会社株式について次のように主張しました。
相手方の主張(会社株式について)
▶ 親族から承継したものであり、夫婦で築いた財産ではない
▶ 会社の資産は個人財産ではない
▶ 株式には市場価格がなく、財産分与の対象として評価できない
また、相手方は会社から役員報酬を受け取っていましたが、実際には会社名義の車両、交際費、住居関連費用など、生活に関係する支出の一部が会社経由で処理されている可能性もありました。婚姻費用や養育費を算定する際に、名目上の年収だけを前提にしてよいのかが問題となりました。
さらに、子どもの親権についても、相手方は「自分の親族の協力を得られるため監護環境はこちらの方が安定している」と主張し、財産分与・婚姻費用・養育費・親権が同時に争われる複雑な離婚紛争となりました。
📘 制度上の前提
財産分与は、民法上、離婚した一方が他方に対して請求できる制度とされており、家庭裁判所は当事者双方の協力によって得た財産額その他一切の事情を考慮して、分与の額や方法を定めるものとされています。
養育費については、家庭裁判所実務上、父母双方の収入額、子の人数・年齢に応じた算定表が目安として参照されます。
SECTION 02
当事務所のサポート
相手方の主張をそのまま前提にするのではなく、まず「会社の財産」「個人の財産」「夫婦で形成した財産」を切り分けて整理しました。
CATEGORY A
会社の財産
事業資産・株式・会社名義の不動産等
CATEGORY B
個人の財産(特有財産)
親族からの承継・相続・婚姻前からの財産
CATEGORY C
夫婦で形成した財産
財産分与の対象となる共有財産
その上で、以下の論点を一つずつ重点的に検討しました。
重点的に検討した7つの論点
戦略の核心:名義や表面的収入では実態が見えない
本件のように会社経営者である相手方の収入や資産状況は、外部から見えにくい場合があります。源泉徴収票や確定申告書だけを確認しても、実態を十分に把握できないことがあるためです。
そこで会社関係資料、不動産資料、保険資料、預金履歴などを丁寧に確認し、形式上の名義ではなく、婚姻中に形成された実質的な経済的利益に着目して主張を組み立てました。
親権についても、相手方の経済力のみによって決まるものではなく、子どもの生活の安定、従前の監護状況、学校生活への影響などを重視して整理しました。離婚時には、養育費や親子交流についても、子どものために具体的に取り決めておくことが重要です。
SECTION 03
解決後の成果
財産分与・婚姻費用・養育費・親権のすべてについて、依頼者の生活設計と子どもの利益に沿った内容で合意成立。
名義や表面的な収入だけで判断せず、財産形成の実態と子どもの生活環境を丁寧に整理したことで、将来の紛争を防ぐ内容での解決につながりました。
RESULT 01
代償金方式での財産分与
株式そのものを分割せず、株式価値と婚姻中の資産形成への寄与を踏まえた代償金で解決
RESULT 02
実質収入による合意
名目上の役員報酬ではなく、会社経営者としての実質的な経済力を考慮
RESULT 03
子の生活環境を最優先
進学・居住場所・面会交流の方法まで具体的に取決め
POINT
本件のポイント
会社経営者・高額資産を含む離婚では、財産評価と収入認定を丁寧に行うことが解決内容を大きく左右します。本件には次の3つの示唆があります。
非上場株式の評価軸
「丸ごと分割」ではなく、婚姻中の価値増加分を評価して代償金で処理する選択肢があります
特有財産と共有財産の線引き
親族援助・相続が原資の財産は特有財産とされ得ますが、婚姻中の運用で増加した部分の扱いが争点になります
子の生活環境への配慮
親権争いでは、監護実績と進学・居住環境の安定が経済力よりも重視される場面が多くあります
離婚時には、養育費や親子交流についても、子どものために具体的に取り決めておくことが重要です。形式的な合意で済ませず、生活実態に踏み込んだ取決めを行うことで、将来の紛争予防につながります。
経営者離婚・複雑な離婚事件のご相談は
財産分与・親権・婚姻費用など
包括的な離婚案件をサポートします
大元・秋山法律事務所(広島弁護士会所属)
〒730-0013 広島県広島市中区八丁堀11-10 KSビル8階
TEL: 082-221-2221
※本事例は守秘義務の範囲で一般化して掲載しています。個別事案の結論を保証するものではありません。