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「無料の求人広告」のあとに請求書が届いたら|払う前に確かめること

弁護士 大元和貴

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無料の求人広告のあとに請求書が届いたら 払う前に確かめること

「ハローワークの求人を見ました。いまなら無料で求人広告を載せられます」。年末年始やお盆、繁忙期など、人手が欲しい時期を狙ったかのように、そんな電話がかかってきます。申込書を返したところ、しばらくして数十万円の掲載料の請求書が届き、払わずにいると内容証明郵便まで送られてきた――。会社や店舗、病院・介護施設から、このようなご相談が続いています。

請求書が届くと、「もう払うしかないのでは」と感じるかもしれません。けれども、慌てて振り込む前に確かめておきたいことがあります。この記事では、請求書が届いたときに確かめることから、裁判所の書類が届いたときの期限まで、順にご説明します。

なぜ「無料」が数十万円の請求になるのか

多くの場合、申込書や規約に「無料期間が終わると、自動で有料の掲載に切り替わる」という条件が書かれています。しかも、その条件は申込書の下の方に小さな字で載っているだけ、ということが少なくありません。

無料期間のうちに、決められた方法(たとえば「書面で」「○日前までに」)でやめると伝えなかったとして、1年分などの掲載料がまとめて請求される。これが典型的な流れです。日本弁護士連合会も、無料のつもりで申し込んだあとに掲載料を請求された例を紹介し、注意を呼びかけています。

内容証明郵便には、払わせる力があるのか

内容証明郵便は、「いつ、どんな内容の手紙を、誰が誰に出したか」を郵便局が証明する郵便です。証明されるのは、その手紙を出したことと中身であって、書かれている請求が正しいことまで証明されるわけではありません。内容証明郵便そのものに、支払いを強制する力もありません。

手紙に「○月○日までにお支払いください」と書かれていても、それは相手の求めであって、法律で決まった回答の期限ではありません。届いた日を記録し、封筒ごと保管したうえで、慌てて電話をかけたり、支払いを約束したりする前にご相談ください。

会社や病院でも、クーリング・オフはできるのか

個人が自宅で受けた電話勧誘であれば、クーリング・オフや消費者契約法で守られることがあります。ところが、会社や店舗、医療法人などが事業のために結んだ契約には、原則として、クーリング・オフ(特定商取引法26条1項1号)も消費者契約法(2条)も使えません。消費生活センターも、原則として消費者のための相談窓口です。悲しいことに、事業者は、消費者と同じようには法律で守られていないのです。

それでも、争う余地がないわけではありません。

申込書に署名していたら、払うしかないのか

署名や押印があるからといって、それだけで結論が決まるわけではありません。勧誘のときの説明や申込書の書き方、契約の中身によっては、裁判所が業者の請求を認めなかった例もあります。

たとえば、電話では「無料」ばかりが強調され、有料になる話がほとんどなかった。有料になる条件や金額は、小さな字で書かれているだけだった。掲載された広告を確認したこともなく、どこに何が載ったのかも分からない。院長や代表者ではない事務の方が、不在のあいだに申込書に記入した――。こうした事情は、見通しを考えるうえで大切な手がかりになります。申込書、規約、請求書、やり取りの記録は、捨てずに残してください。

裁判所から書類が届いたら、期限に注意

裁判所から書類が届いた場合は、絶対に無視しないでください。請求書や内容証明郵便とは違って、裁判所から「特別送達」で届く書類には、守らなければならない期限があります。

支払督促が届いた場合は、受け取った日から2週間以内に督促異議を申し立てないと、相手は仮執行の宣言を求めることができ、差押えに進むおそれがあります(民事訴訟法391条)。訴状が届いた場合も、答弁書を出さないまま第1回の期日を欠席すると、相手の言い分どおりの判決が出るおそれがあります。

どちらも、封筒ごと保管して、すぐにご連絡ください。

弁護士に依頼すると

弁護士は、申込みから請求までの経緯を確かめて見通しをお伝えし、ご依頼を受けたあとは、業者とのやり取りの窓口になります。こちらの考えを書面で伝え、裁判になった場合も期限に合わせて対応します。

解決の形は、請求が取り下げられるなどして支払わずに終わる場合、払う額と時期をはっきりさせて合意する場合、裁判で争う場合などさまざまです。どの形になるかは事情と相手の対応によりますが、早い段階でご相談いただくほど、取れる手段は多くなります。

よくあるご質問

Q. 内容証明郵便を無視しても大丈夫ですか?

内容証明郵便に強制力はありませんが、そのまま放っておくと、支払督促や訴訟に進むことがあります。無視するかどうかを決める前に、申込書と請求書をそろえてご相談ください。

Q. 少しだけ払えば、終わりにできますか?

「少しなら払う」「分割なら払う」と伝えると、請求を認めたと受け取られるおそれがあります。払うかどうか、いくら払うかは、見通しを確かめてから決めるのが安全です。

Q. もう払ってしまいました。取り戻せますか?

支払った日、金額、そのときに交わした書面を確かめます。取り戻せるかどうかは、支払った経緯によります。追加の請求には、続けて応じないでください。

Q. 次のような名称の求人広告サービスから請求が届きました。相談できますか?

以下のような名称の求人広告サービスから掲載料の請求が届き、お悩みの場合は、ご相談ください。請求書と申込書(全部のページ)、勧誘の電話のメモや FAX の控えがあればお持ちください。以下に挙げた名称に限らず、求人関係の契約に疑義がある場合にはご相談ください。

(五十音順)アスビジット/アドビナビ/エンプロeメント/キャリアプレス/キャリワーク/クイックワーク/コネクト/サチリス/シゴサーチ/ジョビック/ジョブインデックス/ジョブインプレッション/ジョブエンジン/ジョブクルーズ/ジョブゴー/ジョブトス/ジョブファースト/ジョブマーク/ジョブリズム/タンサクジョブ/ナビレッジ/ネクスタッグ/ネクストワーク/ハタクエスト/はたラボねっと/ハントピア/ビズリスタ/メディアストック/ライフジョブ/ライフワーク/リクニア/リクルーズ/ワークサーチジョブ/ワークポータル/ワークボックス/ワークライク/ワークライン/ワクシア/ワクポ/1work/career yell/Luxuperso/oh!仕事侍/Work Reach/WORKSEVEN/workstep

無料の求人広告をめぐるトラブルは、事業者だから守られない、とあきらめてしまいがちです。けれども、請求書が届いた段階なら、まだ考える時間があります。

大元・秋山法律事務所(広島市中区八丁堀)では、会社・店舗・病院・介護施設からの求人広告の請求のご相談をお受けしています。申込書と請求書、そのほか届いた書類をお手元にご用意ください。

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カテゴリー: 企業法務
監修弁護士 大元 和貴(広島弁護士会)
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