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医療機関の未収金対応|時効・応招義務・回収の進め方を弁護士が解説

医療機関の未収金対応

窓口での自己負担分が支払われないまま、督促しても反応がない――。未収金の悩みは、規模を問わずほとんどの医療機関が抱えています。1件ずつは少額でも、積み重なれば経営への影響は無視できません。そして診療費にも時効があるため、「そのうち払ってくれるだろう」と置いておくと、請求する権利自体が消えてしまいます。

診療費にも時効があります

2020年4月以降の診療分については、診療費の請求権は原則5年で時効にかかります(それより前の診療分は旧法により3年です)。

時効は、患者が債務を承認すれば新たに進行し直します。分割払いの合意書を交わす、一部でも支払ってもらう、といった対応には、回収の一歩であると同時に時効を更新する意味もあります。長期未収の案件から、まず時効を確認するのが出発点です。

未払いを理由に、次の診療を断れるか

医師には応招義務があるため、「未払いがあるから診ない」という対応を安易に取ることはできません。もっとも、令和元年の厚生労働省通知では、支払能力があるにもかかわらず悪意的に支払わないといった事情がある場合には、診療しないことが正当化され得ると整理されています。

とはいえ、個々のケースでの線引きは微妙です。院内で判断に迷う場面が出てきたら、対応方針を決める前にご相談いただくのが安全です。

回収の進め方――段階を踏んで

  1. 院内での督促――電話・文書で支払いを求め、経過を記録します。分割の相談には柔軟に応じつつ、合意は書面に残します。
  2. 内容証明郵便――弁護士名義の内容証明に切り替えると、院内の督促では動かなかった相手から反応があることは少なくありません。
  3. 支払督促・少額訴訟――簡易裁判所の手続きです。少額訴訟は60万円以下の請求について原則1回の期日で判決まで進みます。
  4. 強制執行――判決等を得れば、給与や預貯金の差押えが可能になります。

すべての未収金を法的手続きに乗せる必要はありません。金額・回収可能性で優先順位をつけ、費用対効果に見合う設計をすることが大切です。

入院時の保証人――極度額の定めはありますか

入院時に連帯保証人を取っている医療機関は多いと思いますが、2020年4月の民法改正で、個人が保証人になる場合には書面で極度額(保証の上限額)を定めなければ保証契約自体が無効とされました。

改正前の書式をそのまま使い続けていて、極度額の記載がない――という医療機関は実際にあります。保証を取っているつもりが法的には無効だった、という事態を避けるため、入院誓約書・保証書の書式を一度点検してみてください。

予防の仕組みづくり

回収と同じくらい大切なのが、未収金を生みにくくする仕組みです。クレジットカードや口座振替への対応、入院時の保証人確保と書式整備、高額になりそうな場合の事前説明と高額療養費制度のご案内、発生後早期の声かけ。未収金は時間が経つほど回収率が下がるため、早い段階での声かけがいちばん効きます。

弁護士に依頼するメリット

  • 弁護士名義の督促により、院内対応では動かなかった相手にも対応できる
  • 時効管理や証拠(診療契約・督促記録)の整理を任せられる
  • 支払督促・少額訴訟・強制執行まで、費用対効果を見ながら進められる
  • 保証書の書式点検や院内の運用ルールづくりなど、予防面まで整備できる

顧問契約であれば、個々の未収金対応に加えて、応招義務やクレーム対応まで日常的にご相談いただけます。

よくあるご質問

Q. 未収のまま患者さんが亡くなりました。もう請求できませんか?

診療費の支払義務は相続人に引き継がれるため、相続人に請求できます。ただし相続放棄をされる場合もあり、その場合の対応は個別にご相談ください。

Q. 生活に困窮している患者さんには、どう対応すべきですか?

支払能力が本当にない方への法的手続きは、費用倒れになりがちです。高額療養費制度や公的扶助の利用を案内しつつ、無理のない分割合意を書面で交わすのが現実的です。悪質な不払いと困窮による不払いを見分けて、対応を変えることが大切です。

Q. 督促の電話が「脅された」とクレームになりました。

督促の頻度・時間帯・言葉遣いには注意が必要です。記録を残しながら淡々と進めるのが原則で、感情的な応酬になりそうな相手ほど、早めに弁護士名義の書面に切り替えることをお勧めします。

未収金のご相談は当事務所へ

大元・秋山法律事務所(広島市中区・八丁堀)では、病院・クリニック・歯科・介護施設の未収金回収と、書式整備などの予防対応をお受けしています。件数がまとまってからでも、1件からでもご相談いただけます。

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