会社側(使用者側)のご相談
カスハラ対策と悪質な要求への対応2026年10月1日からの措置義務に、広島の使用者側弁護士が対応します
2026年10月1日から、顧客や取引先などの言動から従業員を守るための措置を講じることが、事業主の義務になりました(労働施策総合推進法33条1項)。このページでは、会社が整える措置の点検項目と、悪質な要求に対して警告・出入りの制限・法的手段を進める順序を、広島の使用者側(会社側)弁護士が整理します。
ご予約・ご紹介の方は、初回30分無料でご相談いただけます。
警告書・通知
大元・秋山法律事務所(広島市中区八丁堀)公開 /最終確認 (この日時点の法令にもとづく内容です)働く方ご本人のご相談は、労働者側のページでご案内しています。
1措置義務
カスハラ対策の10項目は、会社で何を整えることですか
会社は、顧客等の言動から従業員の就業環境を守るため、相談体制の整備や抑止のための措置などを講じなければなりません(労働施策総合推進法33条1項)。具体的な項目は、指針に10項目で示されています。
職場において行われる、①顧客等の言動であって、②その雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるもの。①から③までの要素を、全て満たすものをいいます(指針2⑴)。
| 項目 | 指針が定める内容 | 用意するものの例 |
|---|---|---|
| ① 方針の明確化 | カスハラには毅然とした態度で対応し、労働者を保護する旨の方針を明確化し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発する(4⑴イ)。 | 方針の文書、周知の方法。 |
| ② 対処内容の周知 | カスハラの内容と、あらかじめ定めた対処の内容を、労働者に周知する(4⑴ロ)。 | 現場の対応手順。 |
| ③ 相談窓口の設置 | 相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知する(4⑵イ)。 | 担当者・制度・外部委託。 |
| ④ 窓口担当の対応 | 担当者が、内容や状況に応じて適切に対応できるようにし、該当するか微妙な場合も含めて、広く相談に対応する(4⑵ロ)。 | 聞き取りの手順。 |
| ⑤ 事実関係の確認 | 事実関係を、迅速かつ正確に確認する(4⑶イ)。 | 確認と聴取の手順。 |
| ⑥ 被害者への配慮 | 事実が確認できた場合に、速やかに、被害者への配慮の措置を適正に行う(4⑶ロ)。 | 交代、引き離し、担当変更など。 |
| ⑦ 再発防止 | 方針を改めて周知・啓発し、必要な場合は、原因や背景となった商品・サービス・接客等の問題などの改善を図る(4⑶ハ)。 | 方針の再周知。接客等の見直し。 |
| ⑧ 悪質事案の対処 | 過度な要求を繰り返すなど特に悪質と考えられるものへの対処の方針をあらかじめ定めて周知し、その対処を行える体制を整備する(4⑷)。 | 対処の方針と連携体制。 |
| ⑨ プライバシー | 相談者等のプライバシーを保護する措置を講じ、労働者に周知する(4⑸イ)。 | 保管場所と閲覧者の定め。 |
| ⑩ 不利益取扱い | 相談したことや、事実確認に協力したことなどを理由に、解雇その他不利益な取扱いをされない旨を定め、周知・啓発する(4⑸ロ、労働施策総合推進法33条2項)。 | 方針や規程への明記。 |
出典:指針、厚生労働省リーフレット(詳細版)。
方針と相談窓口が、指針の項目を満たしているかを、今の規程を見ながら確かめます。現在の就業規則や、顧客対応の手順書があれば、お持ちください。
2線引き
言動の「内容」と「手段・態様」で、カスハラはどう見分けますか
指針は、言動の「内容」が契約内容からして相当性を欠くか、「手段や態様」が相当でないかを、様々な要素から総合して判断するとしています。苦情のすべてがカスハラになるわけではありません。
言動の内容
契約内容からして相当契約内容からして相当性を欠く
手段・態様
相当相当でない
正当な申入れ
社会通念上許容される範囲の苦情は、カスハラに当たりません。誠実に受け止めて対応します。
内容が許容範囲を超える
丁寧な言い方でも、理由のない要求や、対応が不可能な要求などは、当たりうるとされます。
手段・態様が許容範囲を超える
要求に理由があっても、暴行、威圧、執拗な繰り返し、居座りなどは、当たりうるとされます。
内容も手段も許容範囲を超える
警察への通報や弁護士への相談を含め、定めた対処の方針に沿って対応する場面です。
指針は、「内容」と「手段や態様」の一方だけが許容範囲を超える場合でも、該当しうるとしています。
判断では、言動の目的、経緯や状況、業種・業態、言動の態様・頻度・継続性、労働者の属性や心身の状況などを、総合的に考慮することが適当とされています(指針2⑸)。会社や労働者の側の不適切な対応が原因や背景になっている場合にも、留意が必要です。「就業環境が害される」かは、社会一般の労働者が看過できない程度の支障を感じるかが基準で、強い苦痛を与える態様なら1回の言動でも該当しうるとされています(指針2⑹)。
| 類型 | 指針の例示 |
|---|---|
| 要求の内容 | 性的な要求やプライバシーに関わる要求。契約内容を著しく超えたサービスの要求。契約金額の著しい減額の要求。内容と無関係な不当な損害賠償要求。 |
| 身体的な攻撃 | 殴る、蹴る、叩く等の暴行。物を投げつける。わざとぶつかる。つばを吐きかける。 |
| 精神的な攻撃 | 物を壊すことや、ネット上に悪評を投稿することをほのめかして脅す。人格を否定する言動。土下座の強要。盗撮や無断での撮影。 |
| 威圧・執拗・拘束 | 大声で威圧する。同様の質問やメールの執拗な繰り返し。揚げ足取りや執拗な責め立て。長時間の居座りや、電話での拘束。 |
出典:指針2⑸。例の一部です。指針は、個別の事案によって判断が異なる場合もあり、限定列挙ではないとしています。
対象になる人と、場所
- 「顧客等」には、利用者、問い合わせをする者、取引先や契約交渉の担当者、施設の利用者とその家族、近隣住民が含まれ、今後の利用や取引の可能性がある者も含まれます(指針2⑷)。
- 電話やSNS等のインターネット上の言動も含まれ、顧客の自宅や取引先の事務所など、業務での訪問先も「職場」に含まれます(指針2⑴・⑵)。
- 障害のある人が、不当な差別的取扱いをしないよう求めることや、社会的障壁の除去を必要としている旨を表明すること自体は、カスハラに当たりません(指針2⑴、障害者差別解消法8条)。
- 無断での撮影のすべてが、直ちにカスハラに当たるわけではありません。3つの要素を全て満たす場合に当たります(解釈事項)。
3自社の点検
自社の体制は、どこまで整っていますか
指針の項目に沿って、整っているものに印を付けてください。印のない項目が、これから整える項目です。
業界団体が作った業種別マニュアルを配るだけでは、方針の明確化や対処の周知の措置を講じたことにはなりません(解釈事項)。方針の文例、対応マニュアル、記録票、規定例、掲示文は、コラム「カスタマーハラスメント対策が義務化」で説明しています。
カスハラ対策の確認表
指針4の⑴〜⑸に沿って、10項目を12の確認事項に分けました。どの項目も、すべての事業主に求められます。入力した内容は、どこにも送信されません。
0/ 12
印を付けると、まだ整っていない項目が、ここに出ます。
まだ整っていない項目
すべて整っています。悪質なものへの対処の方針は、弁護士と一度確認することもできます。
ボタンを押すと、印の結果を、下の問い合わせフォームの相談内容の欄に写します。送信するまで、どこにも送られません。
4現場の初動
現場で言動を受けたとき、まず何をしますか
一人で対応させず、直ちに管理監督者等へ報告して、その場の方針の指示を仰ぎます。指針も、これを対処の例に挙げています。
- 1
一人で対応させず、直ちに報告する
その場で現場の労働者から管理監督者等に直ちに報告し、指示を仰ぎます。可能な限り、一人で対応させません。
- 2
必要に応じて、管理監督者等が代わる
引き継ぎ必要に応じて、管理監督者等が代わって対応します。現場で困難なときは、本社・本部等へ情報を共有します。
- 3
やり取りを記録する
記録を残す日時、相手、言動、会社の対応を記録します。録音・録画も、指針の対処の例です。記録票の項目はコラムにあります。
- 4
説明を尽くしても続くときは、打ち切る
打ち切り十分に説明してもなお繰り返しの要求が続く場合に、一定の時間の経過をもって退店を求めたり、電話を切ったりします。基準は事前に定めます。
- 5
犯罪に当たりうる言動は、警察へ通報する
警察へ暴行、傷害、脅迫などの犯罪に該当し得る言動は、警察へ通報します。指針は、被害者への配慮の措置とあわせて示しています。
- 6
従業員に配慮し、事実を確認する
事後の対応被害を受けた従業員を引き離す、担当を代える、複数人で対応するなどの配慮をし、事実関係を迅速かつ正確に確認します。
録音・録画をするときの注意
- 取得した個人情報をカスハラの事実確認に使う場合があるときは、その旨を利用目的として特定し、本人に通知または公表します(個人情報保護法17条1項・個人情報保護法21条1項)。
- 録音・録画していることを、その場で伝える義務までは含まれません。ただし、偽りその他不正の手段で取得してはならず(個人情報保護法20条1項)、本人が容易に認識できない場合は、認識できる措置が必要です(解釈事項)。
5法的対応
警告書から仮処分まで、悪質な要求への手段はどの順ですか
会社が悪質な要求に取れる対処として、指針が挙げるのは、警察への通報、警告文の発出、法令の制限内での不提供、出入りの禁止、仮処分の申立てです。どれを選ぶかは、対処の方針と事案の事情で決めます。
改正法が、会社に新しい権限を与えたわけではありません
解釈事項は、改正法は事業主が措置を行う法的な権利や権限を新たに設けるものではないとしています。警告、サービスの不提供、出入りの禁止、仮処分の根拠は、契約、民法、各業法、民事保全法など、従来のものに求めます。特に悪質な場合でも、出入り禁止が一律の義務になるわけではなく、対処の方針に基づき、案件ごとに判断します。
- 1
口頭での警告
その場で、応じられない理由を伝え、続ければ対応を打ち切ると告げます。
- 管理監督者等が対応
- 日時と言動を記録
- 2
書面での警告
行為の内容と、続ければ法的手段を検討することを、書面で通知します。
- 事実を特定できる記録
- 続けた場合の措置を書く
- 3
窓口の一本化
代理人の弁護士が窓口になる旨の通知を検討します。従業員の直接対応を減らします。
- 書面で通知する
- 対象を行為者に限る
- 4
来店・取引のお断り
施設への出入りの禁止や、サービスを提供しない旨の通知を検討します。
- 方針に沿い案件ごとに判断
- 法令の制限内で行う
- 5
仮処分・賠償請求
面談の強要や架電などの禁止を求める仮処分や、損害賠償の請求を検討します。
- 6
刑事手続
犯罪に当たりうる言動は、警察への通報を検討し、被害届や告訴の要否も整理します。
- 指針4⑷が通報を例示
- 記録・録音を保全する
段は一般的な並びの例で、すべてを順に進むとは限りません。犯罪に該当し得る言動は、警告の段階を踏むかどうかにかかわらず、通報を検討します。
警告書・通知に書く事項(指針の定めではなく、実務上の例)
- 行為の日時・場所・内容(事実)
- 応じられないことと、その理由
- 今後、求める行為(言動の停止など)
- 続けた場合に、会社が検討する措置
- 今後の連絡の窓口
| 罪名 | 行為の例(条文) | 法定刑 |
|---|---|---|
| 暴行・傷害 | 暴行:2年以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料。傷害:15年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金。 | |
| 脅迫 | 物を壊すことや、ネット上に悪評を投稿することを告げて、脅す(刑法222条1項)。 | 2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金。 |
| 強要 | 脅して、または暴行を用いて、土下座など義務のないことを行わせる(刑法223条1項)。 | 3年以下の拘禁刑。未遂も罰します。 |
| 恐喝 | 害を加えると告げて、金銭や物を出させる(刑法249条1項)。 | 10年以下の拘禁刑。 |
| 侮辱 | 公然と人格を否定する言動を行う(刑法231条)。 | 1年以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料。 |
| 名誉毀損 | 公然と事実を挙げて、従業員や会社の名誉を傷つける(刑法230条1項)。 | 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金。 |
| 業務妨害 | 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金。 | |
| 住居侵入等 | 退去を求められても居座る。立入りを断られた場所に入る(刑法130条)。 | 3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金。 |
拘禁刑は、令和7年6月1日に、懲役と禁錮が一本化されたものです。実際に罪に当たるかどうかは、個別の事実で判断されます。この表は、結論を示すものではありません。
民事上の手段と、書き込みへの対応
- 仮処分:争いがある権利関係について債権者に生ずる著しい損害または急迫の危険を避けるために必要なときに、仮の地位を定める仮処分を申し立てられます(民事保全法23条2項)。原則として、口頭弁論または債務者が立ち会える審尋の期日が必要です(民事保全法23条4項)。
- 損害賠償:不法行為に基づく損害賠償(民法709条)と、財産以外の損害の賠償(民法710条)があります。会社自身の損害と従業員個人の損害の請求関係は、事案ごとに検討します。
- 取引先との契約:まず契約書の解除・中止の条項と、継続的な取引の定めを確かめます。使えるか判断が難しいときは、書面を出す前にご相談ください。
- ネット上の書き込み:実際に投稿されたときは、削除と投稿者の特定を別に検討します(削除・発信者情報開示のページ)。
警告書を出す前に、これまでの記録とやり取りを一緒に確かめます。日時・言動・会社の対応の記録と、メール・書面・録音があれば、お持ちください。
6医療・介護
医療機関・介護施設では、診療やサービスを断れますか
診療を断れるかどうかは、個別の事情で決まります。厚生労働省の通知は、緊急対応の要否を最も重要な要素とし、迷惑行為で診療の基礎となる信頼関係が失われている場合の整理を示しています。
医療機関・介護施設でない会社は、この節を読み飛ばせます。
診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。
診療を断れるかどうかの考え方は、厚生労働省の通知「応招義務をはじめとした診察治療の求めに対する適切な対応の在り方等について」(令和元年12月25日 医政発1225第4号)が整理しています。
| 通知の項目 | 通知の内容(要約) |
|---|---|
| 応招義務の性質 | 医師が国に対して負う公法上の義務で、患者に対する私法上の義務ではありません。医療機関も、医師個人とは別に、正当な理由なく診療を拒んではならないとされています(1(1))。 |
| 考慮要素 | 最も重要な考慮要素は、緊急対応が必要か(病状の深刻度)です。診療時間・勤務時間の内か外か、患者と医療機関・医師との信頼関係も、重要な考慮要素とされています(1(3))。 |
| 患者の迷惑行為 | 迷惑行為の態様に照らし、診療の基礎となる信頼関係が喪失している場合には、新たな診療を行わないことが正当化されるとされています。診療内容と関係のないクレーム等を繰り返し続ける場合などが例です。緊急対応が必要な場合は別の整理によります(2(1)①、2(2)①)。 |
通知は行政の解釈で、個別の事案の結論を決めるものではありません。迷惑行為があるからといって、診療を断ってよいことにはなりません。実務では、断る前に、緊急対応の要否と、注意・警告の経過を確かめます。
介護施設を含め、各業法等によりサービス提供の義務が定められている場合や、サービスが途絶すると利用者の生命や心身の健康に重大な影響が及ぶ場合があるため、指針はその点への留意を求めています(指針4)。運用通達は、留意する例として医師法19条1項を挙げています。お断りの前に、適用される法令と契約の定めを確かめ、判断者と基準は、悪質なものへの対処の方針に定めます。
診療を断るかどうかの判断に迷うときは、断る前に、ご相談ください。緊急対応の要否と、これまでの注意・警告の記録を、一緒に確かめます。患者・ご家族とのトラブル対応は医療機関向けのページで、応招義務そのものはコラム「医療機関は患者の受診を断れるのか?」で説明しています。
7弁護士に依頼できること
カスハラ対策と悪質な要求への対応で、当事務所が行うこと
広島の使用者側弁護士として、方針・規程・対応手順の整備、研修、個別の事案での警告書や通知の作成、窓口対応や法的手続の検討まで、会社側の立場でご相談に応じます。顧問契約がなくても、1件ごとにご依頼いただけます。
方針・規程・対応手順の整備
対応の方針、対処の内容、悪質なものへの対処の方針を文書にし、就業規則や社内規程との関係を整理します。
相談体制の整備
相談窓口の設け方、担当者の対応の手順、外部窓口の活用を、会社の規模と業種に合わせて助言します。
研修
管理職と窓口の担当者に向けて、線引きの考え方、現場の初動、記録の取り方を説明します。
警告書・通知の作成
行為者への警告書や、出入りの制限・サービスの提供に関する通知について、事実と根拠を整理してご相談に応じます。
窓口対応と法的手続の検討
代理人として窓口になることや、仮処分・損害賠償請求などの手続の要否を、事案に応じて検討します。
顧問契約での継続対応
日常の相談を続けて受けたい会社には、顧問契約をご案内しています。
顧問契約のご案内
費用は、ページ下の弁護士費用にまとめています。ご依頼の前に、書面でお示しします。
従業員から申告を受けたときの調査と処分はハラスメントの申告を受けた会社の対応で、労働審判や訴訟の書面が届いたときは労働審判・あっせん・訴訟のページで整理しています。
よくあるご質問
カスハラ対策の、よくあるご質問

ここに無いご質問は、ご相談の際にお尋ねください。相談を予約する
Q従業員が数人の小さな会社でも対象ですか。いつまでに整える必要がありますか。
従業員が数人でも対象で、義務は2026年10月1日にすでに始まっています。
運用通達は、企業の規模や職場の状況を問わないとしており、指針・通達・解釈事項には、適用の猶予や経過措置は示されていません。整っていない項目があるときは、上の確認表で洗い出して、早めに整えます。
Q措置義務に違反すると、どうなりますか。顧客に罰則はありますか。
会社には行政の助言・指導・勧告があり、顧客等を罰する規定はありません。
勧告に従わなかったときは、公表されることがあります(労働施策総合推進法42条)。報告を求められながら報告をせず、または虚偽の報告をした者は、20万円以下の過料です(労働施策総合推進法51条)。顧客等は、従業員の就業環境を害することのないよう、必要な注意を払うよう努めるものとされています(労働施策総合推進法34条5項)。暴行や脅迫などは、刑法の問題になります。
Q就業規則に、カスハラの規定を設ける必要はありますか。
既存の懲戒規定などで措置を講じられる場合は、新たに設ける必要まではありません。
解釈事項は、信用失墜行為や服務規律違反に対する懲戒規定等に基づいて必要な措置を講ずることができる場合は、就業規則等を改正して規定を新たに設けるまでの必要はないとしています。ただし、方針や対処の内容を周知することなどの措置そのものは、就業規則に規定を置くかどうかにかかわらず、必要です。
Qカスハラ対策の基本方針には何を書き、顧客や取引先にも知らせる必要がありますか。
毅然と対応し、従業員を保護する旨を方針に書いて、従業員に周知します。
指針4⑴イが求めるのは、カスハラには毅然とした態度で対応し、労働者を保護する旨の方針を明確化し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発することです。顧客等への周知は、解釈事項が義務づけていませんが、指針は被害の防止に効果的と考えられるとしています。方針の文例は、コラム「カスタマーハラスメント対策が義務化」にあります。
Q相談窓口は、パワハラなど、ほかのハラスメントの窓口と一緒にしてよいですか。
一体的に設置してもよく、一体とする必要もありません。
指針は、他のハラスメントの相談窓口と一体的に設置することも考えられるとしています。一方、解釈事項は、カスハラは、事案が発生したその場ですぐに相談することや、現場の状況に精通している上司等に相談することが適切な場合もあるため、一体的なものとする必要はないとしています。
Q取引先の担当者から受けた言動も、対象になりますか。
はい。取引先の担当者も、指針の「顧客等」に含まれます。
企業間の契約締結に向けた交渉を行う際の担当者や、今後取引する可能性のある者も含まれます。業務での訪問先で、取引先の労働者やサービスの利用者等から受ける言動も、3つの要素(顧客等の言動であること、社会通念上許容される範囲を超えていること、就業環境が害されること)を全て満たす場合には、カスハラに当たるとされています。
Q自社の従業員が、取引先の従業員にカスハラをした場合は、どうなりますか。
努力義務として、研修などの配慮が求められます。
事業主は、従業員が他の事業主が雇用する労働者に対する言動に必要な注意を払うよう、研修の実施その他の必要な配慮をするよう努めなければなりません(労働施策総合推進法34条2項)。他の事業主から措置への協力を求められたときは、応ずるように努めなければなりません(労働施策総合推進法33条3項)。指針は、他の事業主の労働者へのカスハラを行ってはならない旨の方針を、自社の方針とあわせて示すことが望ましいとしています。
Q顧客等とのやり取りを、録音・録画してもよいですか。
はい。録音・録画は、指針が対処の内容の例に挙げています。
個人情報保護法を守って、顧客等の個人情報を適切に取り扱います。事実関係の確認に使う場合があるときは、その旨を利用目的として特定し、本人に通知または公表します(個人情報保護法17条1項・個人情報保護法21条1項)。その場で伝える義務までは含まれませんが、偽りその他不正の手段で取得してはならず(個人情報保護法20条1項)、本人が容易に認識できない場合は、認識できる措置が必要とされています。
Q法改正で、会社は出入り禁止などの措置がとれるようになったのですか。悪質な場合は、出入り禁止にしなければなりませんか。
いいえ。法改正で新しい権限は生まれず、出入り禁止が一律に義務づけられたわけでもありません。
解釈事項は、改正法は事業主が措置を行う法的な権利や権限を新たに設けるものではないとしています。特に悪質な場合に、出入り禁止を講じなければならないわけではありませんが、整備した体制の下で、対処の方針に基づき、講じるかどうかを案件ごとに判断する必要があります。
Q東京都のカスハラ防止条例は、広島の会社にも関係しますか。
広島県内だけで事業を行う会社には、適用されないと考えられます。
東京都カスタマー・ハラスメント防止条例(令和6年東京都条例第140号)は、令和7年4月1日に施行された条例で、対象は、都内で事業を行う事業者と、都内で業務に従事する就業者です(東京都の例規集)。都内にも営業所があるなどの会社は、個別に確認が必要です。
広島県と広島市が定めているのは、県・市の職員を守るための基本方針で、事業者向けの条例は確認できていません。国の義務(労働施策総合推進法33条1項)は、都道府県を問わず、2026年10月1日から事業主に適用されています。
Q広島で、カスハラについて相談できる公的な窓口はありますか。
広島労働局の雇用環境・均等室が、広島県の窓口です。
厚生労働省のリーフレットは、お問い合わせ先を都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)としています。広島労働局の雇用環境・均等室は、広島市中区上八丁堀6-30 広島合同庁舎第2号館5階、電話082-221-9247です。開庁は、月曜から金曜(祝休日と12月29日から1月3日を除く)の8時30分から17時15分です(広島労働局)。
Q顧問契約をしていなくても、依頼できますか。
はい。顧問契約がなくても、1件ごとにご依頼いただけます。費用は、ご依頼の前に書面でお示しします。
Q相談料はかかりますか。
ご予約・ご紹介の方は、初回30分無料でご相談いただけます。
ご依頼いただく場合の費用は、ご依頼の前に、見積もりを書面でお示しします。
担当弁護士
企業の労務相談を担当する弁護士
会社のご意向とこれまでの経緯を伺い、対応方法や見通しをご説明します。

開設弁護士 シニアパートナー
大元 孝次
広島弁護士会所属。企業法務・使用者側労務の相談を長年担当。労使双方の代理人として関与してきた経験を踏まえ、日常の労務管理から紛争への対応まで助言します。

代表弁護士 パートナー
大元 和貴
広島弁護士会所属。使用者側・労働者側の双方を経験。解雇、残業代、ハラスメントなどの案件について、交渉や労働審判・訴訟に対応しています。医療・介護・サービス業の顧問案件も多く担当しています。

勤務弁護士 アソシエイト
松澤 翔一
広島弁護士会所属。労働審判・労災への対応と、就業規則・社内規程の整備を中心に担当。担当者からの聞き取り、規程の改訂案の作成、管理職向け研修などに対応しています。
事務所案内・アクセス
広島・八丁堀の法律事務所
広島電鉄「八丁堀電停」徒歩2分。JR広島駅から市電で約10分です。

- 事務所名
- 大元・秋山法律事務所
- 所在地
- 〒730-0013
広島県広島市中区八丁堀11-10 KSビル8階 - アクセス
- 広島電鉄「八丁堀電停」徒歩2分
アストラムライン「県庁前駅」徒歩5分
JR広島駅から市電で約10分 - 受付時間
- 平日 9:30〜19:00(土曜・日曜・祝日は要予約)
メール・LINEは24時間受付 - 電話番号
- 082-221-2221
- LINE
- LINEで相談を予約する
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LINEでのご相談予約は、利益相反の確認等のため、貴社名、ご担当者様名、相手方(対象となる従業員等)の氏名、ご相談概要をお知らせください。あわせて、当事務所をどちらでお知りになったかもお知らせいただけますと幸いです。
ご相談時のお願い
- カスタマーハラスメントへの対応方針、規程、対応手順(作成中の案でも構いません)、相談窓口の案内をご準備いただくと、ご相談が円滑に進みます。
- 個別の事案のご相談では、日時、相手、言動、会社の対応を時系列で整理したメモや、録音、書面、メールがあると、状況を把握しやすくなります。
- 相手方から書面や通知が届いている場合は、届いた書類一式をお手元にご用意ください。なお、弁護士の守秘義務により、ご相談内容は厳重に保護されます。



